#nowreading

本と生活、その断片

チラ見

「いま胸見てたでしょ」

友人(女性)にそう言われた。その友人と、もう一人別の女性と一緒に食事をしていた時のこと。私は四人がけテーブルの、二人の向かいに座っていて、その女性の話を聞いていた。 その女性の胸を見ていたでしょう、と友人に指摘されたわけだ。

私はそもそも人の目をじっと見ることが苦手で、よく視線をそらしてはいろいろなところを見てしまう癖がある。この時もそんな癖が発動していたのだが、友人からは「胸を見ていたでしょ、そういうの女性はすぐわかるんだから気をつけたほうがいいよ」と言われてしまったわけだ。 いやいや、別に胸を見ていたわけじゃなくてさ・・・視線がたまたま下の方に・・・いやそれってやっぱり胸を見ていたことになるのかな、そもそも無意識に見たいという気持ちが視線をそっちに・・・ああああ。

そんなことで思い悩んでいたところ、そういえばと思った。私は外見のコンプレックスの塊みたいな人間なので、他人が自分と話しているときにふと目線が外れることがすごく気になる、ということ。

あ、いまこの人私の髪を見た。ヘアスタイルに無頓着な私のことバカにしたのかな・・・。

あ、いまこの人私の服を見た。ダサいシャツだって思ったのかな・・・。

あ、いまこの人私の足を見た。スタイル悪いなって聞こえるんだよその心の声・・・。

あまりに卑屈である、でもそう思ってしまうのだ。もしかしたら私が胸を見てしまった女性も、そんなことを思っていたのかと思うと、途端に申し訳なくなった。