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本と生活、その断片

映画『否定と肯定』

映画『否定と肯定』を観に行ってきた。(チケットを買ったにもかかわらず)直前まで行こうかどうか迷ったけど、「行くか迷ったら、とりあえず行く」という2018年の目標を実行に移し、がんばって家から出た。

hitei-koutei.com

あらすじ

アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件という実際にあった裁判に基づく映画。ホロコースト研究者でユダヤ人のデボラ・リップシュタットの著書の中で、否定論者として糾弾された歴史学者(?)アーヴィングが「イギリス」で、名誉毀損で訴えを起こす。裁判で、アーヴィングがホロコーストに関わる歴史的事実を意図的に歪めたことを証明する必要があるリップシュタットは、弁護団ととときに対立しつつも協力し、勝訴を目指す。

感想

感想としてはドキュメンタリー的な映画として面白かった、というところか。 アメリカの裁判では名誉毀損の立証責任が原告側にあるが、イギリスの裁判では名誉毀損の立証責任は被告側にあるという、アメリカとイギリスの裁判制度の違いや、イギリス法廷の様子(判事や弁護士がかつらをかぶっていた)、ホロコースト否定論への反論方法など、面白い点勉強になる点は多々あった。一方、もっと法廷エンタメ系なのかと思っていたので、その意味では予想と違った映画だった。

法廷での息もつかせぬ論戦、法廷外での弁護団との対立と和解、そして協力しつつ最後には・・・的な展開かと思ったら、法廷での論戦もそれほどドラマチックには描かれないし、リップシュタットと弁護団の間の、弁護方針をめぐるいざこざも割とあっさりと片付けられた。裁判の最後の最後に、判事が思わせぶりな態度をとって、これはもう一悶着あるフラグですか?!と思ったら、特になんでもなかったり。2時間という時間枠を外して、もっといろいろと詰め込んだらそれだけ面白さは付け加えられそうだけど、based on a true story なので、この辺りが穏当なところか。