#nowreading

本と生活、その断片

fuzkueと読書環境

新宿駅から京王新線で一駅の初台に、fuzkueという店がある。控えめにいって、大好きな店だ。 fuzkue.com 大好きといっても頻繁に通えてるわけじゃなく、3ヶ月に一度くらい行ければいいほう(そもそも初めて行ったのが、昨年の10月)。ただ、今回の年末年始は2回行けてとてもハッピー。

ひとことでどんな店かといえば、ウェブページにあるように「本の読める店」であり、ひとりで本を気持ちよく読むための環境づくりに徹しているお店だ。 「ブックカフェ」というのもちょっと違っていて、このお店の特徴のひとつは、その一見神経質なまでの決まりにある。おしゃべり禁止、持続的なキータッチやマウスのカチカチ音禁止、ペンがコロコロ転がる音も気をつけて。大きなため息やあくびも控えて…等々。この辺はウェブページにも書かれているし、お店に入ると、どさっと分厚い説明書きが挟まったバインダーを渡される。全部読むのには30分くらいかかりそうなやつ。これらはすべて、本が読める店であるため。 かといって、禁止事項ばかりの堅苦しい空間では、決してない。お客さんたちも、だいたいそれをわかってこのお店に来ているし、禁止事項で縛るというよりも、みんなで読書に適した空間つくっていきましょうね、という雰囲気が、お店側にもお客側にもある。気がする。

たかが読書のために・・・なのだけど

私はfuzkueに行くと3時間以上は滞在して、だいたい2000円くらいのお会計になることが多い1。その間、ただ、本を読んでいるだけだ。本を読むだけにわざわざ遠いお店に行き2、2000円も払うのか、と言えばそれまでなのだが、この時間がたまらなく快適だから、わざわざ足を運ぶし、お金を払っている。何も心配せずにただ本を読める、ということが、本を読むための空間にいることがこんなにも心地いいのかということを感じられる。とても貴重な時間になる3

本を読む環境を整える

本を読むということは、本を読むための時間や場所をつくるということなんだと、今はきちんと意識されていないのです。(『読書からはじまる』、長田弘著)

私は本を読むことが好きだが、それは文字を目で追うことだけが好きなのではなく、本屋や図書館などに行き本を選び、それを読む時間をつくり、読むための環境を整え、その本の世界に入って行くことが好きなんだと、fuzkueはそういうことを改めて認識する場所だ。

本を読むための環境を整える、ということでいえばfuzkueにはいろいろ影響を受けていて・・・ たとえば音楽。fuzkueでかかっている、ビートのない、ドローンっていうの?単音の長い音が続く音楽。本を読む邪魔にならないし、むしろ読むリズムに同化してくるような音楽。誰の音楽なんだろう?と思っていたところで店主の阿久津さんのインタビューを読み、畠山地平を知った。

kode.co.jp

気に入って、最近spotifyでよく聴いている。

あとは「香り」。fuzkueのトイレに置いてあったニールズヤードレメディーズのルームフレグランススプレー。いい香りだなと思ったので買ってしまった4。fuzkueのトイレの香りかよ!というところだが、いい香りなんだから仕方ない。fuzkueはトイレまで快適。自宅で本を読むときは、これを空間にシュッとスプレーする。

そういうわけで、fuzkueは私の生活に楽しみを与えてくれる存在であり、なおかつ影響も着々と与えてくれる(若干支配されている感もある)。2018年も、3ヶ月に一回くらいは行きたいなあと思っている。


  1. 注文数ごとに席料が減っていく・・・というそれだけいうと「会計もいろいろルールが!」という話になりそうだが、私の場合、ドリンク2杯+ケーキ的なものひとつでだいたい2000円くらい。

  2. 東京方面に用事があるときに行くことが多い

  3. 少なくとも私にとっては。効果には個人差があります。

  4. 結構お高かったのですがね・・・