#nowreading

本と生活、その断片

2017年最後にして最高の一冊『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎 著、光文社新書)

面白かった、抜群に面白かった。読んだのは年末だったのだけど、最後の最後に2017年最高の一冊に躍りでた。

昆虫博士を目指し、「サバクトビバッタ」というアフリカで時に大発生し食糧問題を引き起こす原因ともなるバッタを研究する前野氏。本書はその前野氏のアフリカでのフィールドワーク冒険記と読むこともできれば、ポスドクの悲しき難しき就活問題を提起するほんとも読める。さらには研究者の生態を手軽に知れる読み物であるとともに、困難な道の中に光を見つけ、それをより輝かせていく青年の物語から勇気を得られる本でもある。

前野氏は軽いタッチで書き進めながらも、数少ないポストを目指して熾烈な競争を繰り広げるポスドクの不安定さは痛いほどつたわる。自然環境を相手に研究するということがどれだけ難しいかということも、素人でも痛いほど感じる。しかしそんな困難な道の中にあっても、前野氏は日々研究の喜びに、自らを支えてくれる人たちの優しさに気づく。そして、それに感謝する。

好きなことを突き詰めながら、それがいかに周りの人に支えられているのかを認識しながら、さらに突き進んでいく。そんな前野氏から2018年も頑張ろうと元気をもらえるような、そんな一冊だ。

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)